Research Press Release
【生物工学】不必要な幹細胞を片付ける
Nature Communications
2013年6月19日
幹細胞由来の治療法の安全性を高めると考えられる「浄化」処置について報告する論文が、今週掲載される。この手法では、幹細胞でのみ発現し、さまざまな細胞が混在する集団から未分化細胞を除去する細胞表面タンパク質が利用されている。
幹細胞は、すべての種類の細胞に分化できる能力をもち、再生医療のために大いに期待されている。ところが、幹細胞の転換によって作り出された細胞集団には、少量の未分化細胞が含まれており、それが腫瘍の発生原因となる場合がある。
今回、Nissim Benvenistyたちは、密着結合タンパク質Claudin-6がヒト多能性幹細胞の表面だけに存在することを見いだした。そして、抗体か細菌毒素を利用する3つの異なる方法で、Claudin-6を発現する細胞を認識し、死滅させられることを明らかにした。これらの処置が実施されると、幹細胞由来の混合細胞集団からClaudin-6を発現する細胞が効率的に除去された。そして、これらの処置を実施した細胞をマウスに注入した実験では、腫瘍の形成を予防する効果が認められた。
doi:10.1038/ncomms2992
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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