Research Press Release

【エピジェネティクス】記憶の固定とエピジェネティックな修飾

Nature Communications

2012年8月8日

記憶の固定には、脳内の海馬と皮質において時間特異的なエピジェネティック変化が順番に活性化する必要があることが明らかになった。この新知見は、記憶の形成におけるエピジェネティック修飾の役割に関する新たな手がかりといえる。この結果を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。

記憶の固定は,脳内の2つの主要な領域(海馬と皮質)に依存することが知られている。海馬は、新たな記憶痕跡の形成と短期貯蔵のために動員され、皮質、特に前頭前皮質は、長期貯蔵に必要となる。エピジェネティック過程は、記憶の形成に関連していると考えられているが、この過程の正確な動態については解明が進んでいない。

今回、I Mansuyたちは、マウスを対象認識課題で訓練したうえで、脳内でのエピジェネティック変化を調べた。その結果、学習後に海馬におけるエピジェネティック修飾が急速に活性化したが、皮質では一定の遅延があった後に活性化した。

Mansuyたちは、これらの特異的な修飾が、海馬と皮質の間での情報の移送、すなわち記憶の固定を維持するために非常に重要な分子的記憶だと考えられると結論づけている。

doi:10.1038/ncomms1997

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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