Research Press Release

環境:オーストラリアの植民地化が山火事の激化に寄与した可能性

Nature

2026年10月8日

英国によるオーストラリアの植民地化後の土地管理の変化が、山火事に対する気候変動の影響を増幅させた可能性を報告する論文が、Nature に掲載される。この研究は、オーストラリア南東部における過去1000年間の植生、火災、景観の変化を明らかにした。また、植民地化後の土地管理によって、現在この地域を覆う火災の起こりやすいユーカリ林がどのように形成されたかを示している。先住民の知識にもとづく文化的火入れを再導入することは、山火事のリスク低減に役立つと考えられる。

気候変動は、世界的な山火事のおもな要因として広く認識されているが、土地管理も、これまで十分に考慮されてこなかった要因の一つと考えられる。英国による植民地化以前、オーストラリア南東部の先住民グナイクルナイ(Gunaikurnai)族は、燃料の蓄積を抑え、大規模な山火事を防ぐために小規模な文化的火入れを行っていた。この慣行は、19世紀の英国による植民地化後に廃止された。しかし、土地管理の変化前後で植生や火災の動態がどのように異なっていたかを示す証拠は限られている。広く利用されている一部の全国規模のデータセットでは、植民地化後の森林が「自然」の基準点とされており、こうした変化がさらに見えにくくなっている。

オーストラリア南東部の長年にわたる植生と火災の歴史を調査するため、Michael-Shawn Fletcherら(メルボルン大学〔オーストラリア〕)は、同地域にあるプルガグーラ(Purghagoolah、Lake Elusive;エルーシブ湖)の最深部から1メートルの堆積物コアを採取・分析した。著者らは、古代の花粉、木炭、堆積層を分析し、過去1000年間の植生、火災活動、景観の変化を再構築した。著者らは、グナイクルナイ族による管理下では、この地域で800年以上にわたって疎林が安定して維持されていたことを明らかにした。植民地化後の土地管理の変化と、1800年代における文化的火入れの停止にともない、ユーカリの被覆率は約9%から34%へと、およそ4倍に増加した。大型の木炭粒子の分析から、燃料の蓄積(ユーカリはきわめて可燃性が高い)により、植民地化後の土地管理下で火災の強度、温度、頻度が増加したことが示された。土壌侵食の速度も植民地化後に増加した。これらの変化は、1950年代頃に現れた人為起源の気候温暖化に先立つものであり、歴史的な土地利用の変化が、山火事の発生増加に長期的に寄与していた可能性を示唆している。

現在、オーストラリア南東部の大部分は、燃えやすいユーカリ林に覆われている。2400万ヘクタール以上を焼き尽くした2019~2020年の「ブラック・サマー(Black Summer)」の山火事は、こうした森林における火災の規模と長期にわたる影響を示す最近の例である。先住民の知識と文化的火入れは、今後の山火事管理戦略の策定に役立つと著者らは結論づけている。

  • Article
  • Published: 07 October 2026

Fletcher, MS., Romano, A., O’Shea, C. et al. Australia’s current wildfire crisis linked to colonial land-use change. Nature (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-11097-z

 

doi:10.1038/s41586-026-11097-z

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