Research Press Release

スポーツ:マラソン中に「壁にぶつかる」可能性は、男性の方が2倍高い

Scientific Reports

2026年7月3日

マラソン中に突然ペースが落ちる、いわゆる「壁にぶつかる(hitting the wall)」現象は、男性ランナーの方が女性ランナーの2倍起こりやすい可能性があることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルScientific Reports に掲載される。著者らは、男性はレースの序盤をゆっくり走り、レースが進むにつれてペースを上げていくことで、このリスクを軽減できる可能性があると示唆している。

これまでの研究では、男性はレース中にペースが落ちやすいと報告されてきたが、これが大規模集団でも確認されるかどうかは不明だった。

Beat Knechtleら(チューリッヒ大学〔スイス〕)は、87万3334個の電子計時データを用いて、1999年から2025年までのベルリンマラソンの記録を分析した。この期間中、ランナーの76%が男性で、半数以上が35歳から49歳だった。分析対象には42キロメートルのマラソンを完走したランナーのみが含まれており、同一人物の記録が複数年分含まれている可能性もある。著者らは、「壁にぶつかる」ことを、レース前半と比べて後半に少なくとも20%減速することと定義した。その結果、男性ランナーは女性ランナーよりも速いタイムでマラソンを完走する傾向があったものの(平均レースタイムはそれぞれ4時間2分対4時間29分)、男性ランナーの方が「壁にぶつかる」確率は2倍高いことがわかった。3時間未満にマラソンを完走したランナーに限ると、男性ランナーが「壁にぶつかる」確率は女性の6倍だった。

85万6759件のレースにおける記録を分析した結果、男性ランナーのペースは女性ランナーに比べて安定していない傾向があることが示された。男性は女性よりもレース後半でペースが落ちる傾向があった(男性は約25キロメートル地点、女性は20キロメートル地点で)。しかし、レース全体をつうじて安定したペースを維持できたのは女性の方が男性より多く、レース中の特定の時点で明確なペース低下が見られなかったのは女性が52%、男性が36%だった。レースの最後の5キロメートル間では、男性ではペースが18%低下する傾向があったのに対し、女性は13%のペースダウンにとどまった。

これまでの研究では、女性はランニング中にエネルギー源であるグルコースの貯蔵形態であるグリコーゲン量をより維持しやすい可能性があることが報告されており、著者らはこれが女性のペース維持に寄与しているのではないかと推測している。また、男性はレース序盤に自身の競技能力を過大評価しているために、ペースが落ちるのではないかと指摘している。ただし、これらの潜在的なメカニズムを解明するにはさらなる研究が必要であり、著者らは今回の知見が特定のマラソンコース1つのマラソンコースにもとづくものであると付記している。

MacDonald, R.J., O’Connor, C.E., Boehm, V.A. et al. Aerosols and hydrocarbons in the atmosphere of a white dwarf planet. Nature 655, 76–80 (2026). https://doi.org/10.1038/s41586-026-10514-7

doi:10.1038/s41598-026-56334-7

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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