神経科学:馬の脳スキャンが示す母子の絆の重要性
Nature Communications
2026年1月14日
子馬と母馬の長期的な接触は、子馬にとって有益であり、脳の構造や機能、社会的発達に好影響を与える可能性があることを報告する論文が、オープンアクセスジャーナルNature Communications に掲載される。
大型の社会性哺乳類では、養育をになう成獣が、子の生存や繁殖適応に必要な社会的スキルの獲得を促進する。馬の場合、およそ生後4~6カ月に離乳によってこの絆を断つと、子馬に長期にわたる悪影響が生じることが示されている。しかし、その原因は未だ解明されていない。
David Barrièreら(CNRS:フランス国立科学研究センター〔フランス〕)は、生後6カ月から13カ月まで追跡調査した24頭の家畜馬(Equus caballus)の子馬に対し、脳スキャン(機能的磁気共鳴画像法を含む)と生理学的、社会的、および認知的テストの組み合わせを実施した。子馬の半数は、生後6カ月で母馬から分離され、残りの半数は実験終了まで母馬とともに過ごした。著者らは、母馬との長期的な接触が複数の脳領域における成熟促進と関連していることを観察した。これには、社会情動的行動の調節に関わる領域(前帯状皮質と後帯状皮質)や生理的調節に関わる領域(視床下部と扁桃体)が含まれる。また、6カ月で分離された子馬と比べ、これらの子馬はより社交的で、積極的な社会的交流を多く行い、環境探索が活発で、体重増加も大きかった(摂食時間は短かったにもかかわらず)。生理学的には、母馬との長期接触は血中脂質(トリグリセリドとコレステロール)濃度の上昇と、ストレス関連ホルモンであるコルチゾール濃度の低下と関連していた。
この発見は、飼育下の子馬における母体離乳の遅延を支持するさらなる証拠を提供し、家畜化された馬を大型哺乳類における養育者と子の関係を研究するうえで有用なモデルとして位置づけるものである。
- Article
- Open access
- Published: 13 January 2026
Valenchon, M., Reigner, F., Lefort, G. et al. Affiliative behaviours regulate allostasis development and shape biobehavioural trajectories in horses. Nat Commun 17, 47 (2026). https://doi.org/10.1038/s41467-025-66729-1
doi:10.1038/s41467-025-66729-1
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