気候変動:南米で高まる熱波、干ばつ、および火災のリスク
Communications Earth & Environment
2024年9月27日
南米の一部の地域では、1年間で極端な暑さ、乾燥、および火災の危険性が高い日が同時に発生する日数が、1970年以降、最大で3倍に増加していることを報告する論文が、Communications Earth & Environmentに掲載される。
南米は、地球の平均気温と同程度の速度で温暖化している。しかし、亜大陸の一部の地域では、複数の極端気象事象が同時に発生するリスクがより高い。こうした複合的な極端事象は、生態系、経済、そして人間の健康により深刻な影響を及ぼす可能性がある。
Raúl Corderoらは、1971年から2022年の間に、南米大陸の各約30×30キロメートルのグリッドセルが高温、乾燥、および可燃性の極端気象を同時に経験した日数を計算した。各条件における極端気象は、日ごとの最高気温の記録、30日間の平均降雨量、および日ごとの火災気象指数の記録から計算された。著者らは、これらの極端気象が同時に発生する頻度が大陸全体で増加していることを発見した。特に増加率が高かったのは、ベネズエラとコロンビアの国境周辺、アマゾン北部、南米中央部のリオ・デ・ラ・プラタ流域北部で、年間20日以下から70日以上に増加した。また、過去50年間で、これらの同時発生事象の年ごとの変動性も増加していることが分かった。
さらに、複合的な状況が地域的に発生する可能性は、エルニーニョ南方振動の影響を受けることも判明した。暖かいエルニーニョ期には、アマゾン北部地域で火災の危険性が高まり、より低温なラニーニャ期には、南米中央部で火災の危険性が高まる。
著者らは、火災の増加と極端な乾燥は、いずれも公衆衛生上の危険であり、大気中に放出されたブラックカーボン(黒色の炭素微粒子;BC)によってさらなる温暖化を引き起こす可能性があると警告している。また、これらの極端気象は、脆弱な農村地域や先住民に不均衡な影響を与えると指摘し、この地域の政策立案者は、これらの極端気象の緩和に一層重点的に取り組むべきであると提言している。
Feron, S., Cordero, R.R., Damiani, A. et al. South America is becoming warmer, drier, and more flammable. Commun Earth Environ 5, 501 (2024). https://doi.org/10.1038/s43247-024-01654-7
doi:10.1038/s43247-024-01654-7
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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