Research Press Release
組織修復のヘルパー
Nature Immunology
2011年9月26日
肺に常在し、感染によって損傷を受けた組織の修復を助ける免疫細胞が同定された。インフルエンザウイルス感染後に、この細胞の働きでアンフィレギュリンとよばれる分子が生じ、肺の機能を回復させる。 David Artis、John Wherryたちのグループは、マウスの気道で自然リンパ球と呼ばれる免疫細胞を確認した。この自然免疫細胞を持たないマウスがインフルエンザに感染すると、体温維持ができず、血中酸素濃度を測定したところ、肺機能も低下していた。しかし、この感染細胞の肺に自然リンパ球、またはアンフィレギュリンを注入すると肺機能と体温が正常化したことから、この細胞の活性化が肺表面の組織修復に重要であることがわかった。
著者たちは、ヒトの気道にも類似の自然ヘルパー細胞が見られることを明らかにした。この細胞の活性化が、ヒトでも肺組織の修復を助けている可能性がある。
doi:10.1038/ni.2131
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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