免疫学:モデルナワクチンのブースト接種の安全性と有効性の評価
Nature Medicine
2021年9月15日
モデルナ社製のワクチンmRNA-1273と変異株向けの改変ワクチンが80人の参加者にブースト(追加免疫)接種され、安全で耐容性があり、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)やその重要な「懸念される変異株」(ベータ株、ガンマ株、デルタ株を含む)に対する中和抗体レベルを上昇させることが明らかになった。これらの結果は、現在進行中の臨床試験の中間解析の一部で、Nature Medicineに掲載される。
SARS-CoV-2の「懸念される変異株」(VOC)や「注目すべき変異株」(VOI)は抗体による中和への感受性が低く、これらの出現によってブースト接種と変異株特異的ワクチンへの関心が高まっている。SARS-CoV-2に対するブースト接種の安全性、有効性を調べたこの解析では、モデルナ社製ワクチンmRNA-1273を2回接種済みの参加者たちに対して、6か月後にもう1回、ブースト接種が行われた。3回目の接種には、前の2回と同じワクチンか、多種類の変異株に対するワクチンであるmRNA-1273.211のような改変ワクチンのどちらかが使われた。
D Edwardsたちは、改変ワクチンもしくは従来のワクチンとの組み合わせが接種された4つのブースト接種群(それぞれ20人)を観察した。ブースト接種(3回目の接種)の直前のSARS-CoV-2に対する中和抗体の血中レベルは、参加者が2回目の接種を受けた1か月後に測定した時に比べて低下していた。VOCであるベータ株、ガンマ株、デルタ株に対する中和抗体レベルも、低いか検出できないかのどちらかであった。著者たちによれば、ブースト接種に使われた3種類のワクチン全てで、SARS-CoV-2に対する中和抗体のレベルは、最初の2回の接種を終えてから1か月後の測定値よりも高くなっており、レベルが特に上昇したのはmRNA-1273とmRNA-1273.211を接種した場合だった。さらに、ブースト接種に使われた3種類のワクチンはいずれも、VOC、VOIの中でベータ株、ガンマ株、デルタ株に対する抗体レベルを上昇させた。
著者たちは、この予備的解析結果には、サンプルサイズが小さいことや無作為化されていない処置群に基づく結果であることなど、複数の制約があることを認めている。それでも彼らは、SARS-CoV-2のVOCに対してmRNAを基盤として使うという、この臨床試験で調べられた方法はブースト接種用ワクチンの開発に役立つと結論している。
doi:10.1038/s41591-021-01527-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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