天文学:「事象の地平線」望遠鏡が別のブラックホールを拡大撮影した
Nature Astronomy
2021年7月20日
超大質量ブラックホールから放出されたプラズマジェットの高分解能の電波観測結果が、一般相対性理論に基づく予測と1光日未満のスケールで一致することを示した論文が、Nature Astronomy に掲載される。この知見は、ブラックホールが幅広い質量範囲で似たような振る舞いをすることを示唆している。
2019年に「事象の地平線」望遠鏡(EHT)によって初めて撮影された、超巨大楕円銀河M87のブラックホールの影(オレンジ色の「ドーナツ型」)の画像は、アインシュタインの一般相対性理論に基づく予測と驚くほど一致を示した。しかし、それほど大質量でないブラックホールやそれほど活発に物質を集積していないブラックホールの周辺の物質が、M87と異なる振る舞いをするかは明らかになっていない。
今回、Michael Janssenたちは、EHTを、地球に最も近い活動銀河で強力なプラズマジェットを持つケンタウルス座Aに向けた。ケンタウルス座Aは、M87よりも質量が小さく、その超大質量ブラックホールが集積する物質の量はM87のブラックホールのわずか数分の1であり、従って、M87の巨大なブラックホールと銀河系のブラックホールの間を埋める存在となる。Janssenたちは、ケンタウルス座Aのブラックホールから0.6光日離れた場所を観測し、そのジェットが、明るい周縁部を持つ2つの中空の円錐のように見えることを見いだした。ジェットの全体的な形状と性質は、M87のジェットや、恒星質量ブラックホールから放出されるジェットの形状と性質に非常によく似ていることが観測された。今回の知見は、大質量ブラックホールが、より質量の小さなブラックホールのスケールアップ版であるという考えを支持するものである。
doi:10.1038/s41550-021-01417-w
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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