Research Press Release

疫学:南アフリカでは、SARS-CoV-2の新しい16の系統が2020年3月から8月にかけて広がった

Nature Medicine

2021年2月2日

南アフリカで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まった直後の6か月間に分離された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)から得られた1300を超えるほぼ完全なゲノム塩基配列の解析が行われ、16の新しいSARS-CoV-2系統が見つかった。Nature Medicine に掲載されるこの研究により、2020年3月6日から8月26日の間にSARS-CoV-2が南アフリカ全体にどのように拡散していったのかが明らかになった。

南アフリカのCOVID-19パンデミックはアフリカ最大で、感染者は78万5000人以上(アフリカで判明した全感染者数の約50%に相当)となり、2020年11月末までの死者は2万人を超えた。

SARS-CoV-2の進化を解明し、世界的な伝播の動態を追跡するのには、ゲノム疫学の手法が使われている。H Tegally、T de Oliveiraたちは、パンデミックの最初の6か月間に南アフリカで収集されたSARS-CoV-2由来の1365に上るほぼ完全なゲノム配列を解析し、16の新しい系統を明らかにした。これらの系統のほとんどが、他では見つかっていない独自の変異を持っていた。南アフリカでの流行の第1波の際には、これらの内の3系統(B.1.1.54、B.1.1.56およびC.1)が広く拡散し、その時点での南アフリカの全感染者の約42%を占めていたことが分かった。南アフリカで2020年8月末までに地理的に最も広がった系統は、新たに見つかったC系統のC.1だった。

著者たちは、このタイプのゲノム監視をアフリカで大規模に行えば、SARS-CoV-2の新系統を見つけだし、ウイルスの拡散を制御する対策情報を知らせるのに役立つと述べている。実際、このようなゲノム監視は、2020年12月に南アフリカで501Y.V2変異株が確認された際に重要な役割を果たした。

doi:10.1038/s41591-021-01255-3

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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