Research Press Release
生態学:生物多様性を強化するために必要な保全方法と食料システムの改革
Nature
2020年9月10日
大胆な保全方法と食料システムの持続可能性の向上を組み合わせることで、生息地の転換による陸上生物多様性の減少という状況を逆転させられると示唆するモデル研究について報告する論文が、Nature に掲載される。
農業や林業のために自然生息地を破壊するといった人間の圧力は、生物多様性の急速な減少を引き起こし、私たちが依存する生態系サービスを危険にさらしている。生物多様性に関する野心的な目標が提案されているが、増え続ける人類の食料を賄う能力を維持しつつ、こうした目標を達成する方法は明らかになっていない。今回、David Leclèreたちの研究チームは、これが可能なことを、土地利用と生物多様性のモデルを用いて示している。
環境保全担当者は、積極的に管理する土地を増やし、荒廃した土地を修復し、景観レベルの一般化された保全計画を採用する必要がある。一方、私たちは、動物由来のカロリー摂取量を減らし、食品の廃棄量を減らし、持続的に食料を増産する方法を見つける必要がある。
Leclèreたちは、この二元的戦略を取れば、今後の生息地の転換による生物多様性の減少を3分の2以上回避できることを示唆しつつ、生物多様性の減少を本当に逆転させるには、気候変動などの他の脅威への取り組みも欠かせないと注意喚起している。
doi:10.1038/s41586-020-2705-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
古生物学:南米の琥珀層に古代昆虫が「ひしめき合う」Communications Earth & Environment
-
気候変動:山火事の煙による年間死亡者数は増加すると予測されるNature
-
人工知能:DeepSeek-R1 AIモデルの背後にある科学Nature
-
医療科学:医療を導くAIツールNature
-
気候変動:温暖化によるサンゴ礁の緩衝機能の危機Nature
-
神経科学:繰り返される頭部外傷は若年アスリートの脳細胞を変化させるNature