生物多様性:ネオニコチノイド系農薬が米国の鳥類に悪影響を及ぼす
Nature Sustainability
2020年8月11日
米国本土におけるネオニコチノイド系農薬の使用量の増加が、鳥類の個体数に影響を及ぼし、鳥類の多様性を低下させている可能性があることを報告する論文が、今週Nature Sustainability に掲載される。
鳥類の生物多様性は、急速に低下している。米国の鳥類の個体数は、1970年以降29%減少しており、これは、農業生産における農薬の使用量の増加など、さまざまな要因があるとされている。ニコチンをベースにしたネオニコチノイド系農薬は、この数十年で米国での使用量が増加した。これまでの研究で、ネオニコチノイド系農薬が鳥類などの非標的種に対して毒性を示す可能性が示されている。しかし、ネオニコチノイド系農薬が米国の鳥類の多様性に与える影響はよく分かっていない。
今回、Madhu Khannaたちは、2008~2014年の米国の鳥類に対するネオニコチノイド系農薬の影響を調べた。Khannaたちは、北米鳥類繁殖調査のデータを分析して、鳥類の4つの異なる種群(草原性鳥類、非草原性鳥類、食虫性鳥類、非食虫性鳥類)の郡レベルの変化を特定し、これを郡レベルの農薬使用量のデータと結び付けた。
その結果、ネオニコチノイド系農薬の使用量が郡当たり100キログラム(平均で12%)増加すると、草原性鳥類の個体数が2.2%、食虫性鳥類の個体数が1.6%減少することが明らかになった。これに比べて、非ネオニコチノイド系農薬の使用量100キログラムに伴う草原性鳥類の減少は0.05%、非草原性鳥類、食虫性鳥類、非食虫性鳥類の減少は0.03%であった。こうした影響は蓄積するので、Khannaたちは、例えば2008年にネオニコチノイド系農薬が郡当たり100キログラム使用されたことで、草食性鳥類の累積個体数が2014年までに9.7%減少したと見積もっている。今回の知見は、ネオニコチノイド系農薬の使用が重要な鳥類の個体数の減少に比較的大きな影響を及ぼし、こうした影響は時間とともに大きくなることを示唆している。Khannaたちはまた、鳥類の個体数に対するネオニコチノイド系農薬の悪影響が、米国中西部、カリフォルニア州南部、北部大草原に集中していることも見いだしている。
doi:10.1038/s41893-020-0582-x
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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