惑星科学:水素雰囲気下の生命
Nature Astronomy
2020年5月5日
微生物は水素100%の雰囲気中で生存・増殖できることを示した論文が、今週、Nature Astronomy に掲載される。今回の知見は、生命がこれまで考えられていたよりもずっと幅広いさまざまな系外惑星の環境で繁栄している可能性を示唆している。
地球より質量の大きな岩石質の系外惑星は、その大気中にかなりの量の水素を保持できる。そうした水素豊富な大気は、地球のような大気よりも広がっていると考えられており、このことは系外惑星の大気を検出しやすくする。一般に、水素の高い存在度が生命をもたらすとは考えられていないが、こうした環境での生命の生存能力についての研究はこれまで行われていなかった。
今回、Sara Seagerたちは、大腸菌(Escherichia coli)と酵母(それぞれ原核生物の微生物、真核生物の微生物として代表的なもの)を用い、実験室で増殖実験を行った。著者たちは、大腸菌と酵母の培地を水素100%の雰囲気にさらした。その結果、いずれの微生物も正常に増殖できることが明らかになった。ただし、その増殖速度は空気中よりもゆっくりで、空気中に比べて大腸菌では約2倍かかり、酵母では約2.5桁以上遅く、著者たちはこれが酸素の欠乏によるものであると述べている。
大腸菌のような微生物は、生命の痕跡を示す可能性のある気体を含む非常に多くの種類の気体を生成する。こうした気体は相当の存在度で蓄積し、いずれは検出可能になると考えられる。
doi:10.1038/s41550-020-1069-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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