細胞生物学:失明したマウスの視力回復
Nature
2020年4月16日
繊維芽細胞の化学的再プログラム化によって視細胞様細胞が作製され、この細胞が失明マウスの視力を回復させることが実証された。この研究結果について報告する論文が、Nature に掲載される。
光を感知する視細胞の消失は、大部分の網膜疾患(加齢黄斑変性症、糖尿病網膜症など)の共通のエンドポイントであり、回復不能な失明につながる。細胞の化学的再プログラム化は、視力低下の回復に役立つ可能性があるが、感覚細胞(例えば、視細胞)の生成は、克服されていない課題だ。
今回、Sai Chavalaたちの研究チームは、5種類の化合物を投与することで、繊維芽細胞(結合組織の構造完全性を維持する細胞種)の桿体視細胞様細胞への変換を化学的に誘導できることを明らかにした。そして、マウスの胚性繊維芽細胞からの変換を化学的に誘導して得られた視細胞様細胞(CiPC)の遺伝子発現プロファイリングが行われ、CiPCが桿体視細胞に類似していることが明らかになった。次にChavalaたちは、網膜変性を起こしたマウス(14匹)の眼にCiPCを移植し、CiPCが瞳孔反射と視力を回復させられるかどうかを調べた。そのうちの6匹のマウスは、移植から3週間後と4週間後に弱い光に対する瞳孔反応が改善した。そして、(目の見えるマウスは暗い場所を好む傾向があることに基づいた)羞明検査を実施して、これら6匹のマウスの視覚機能の回復を評価した。この検査では、CiPCを移植された6匹のマウスは、暗い場所で過ごす時間が失明マウスモデルより長いことが分かった。
doi:10.1038/s41586-020-2201-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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