【地球科学】アナク・クラカタウの崩壊前に活動の兆候があった
Nature Communications
2019年10月2日
火山島アナク・クラカタウは、2018年12月に山腹が崩壊し、それが引き金となって発生した津波によって多数の死者が出た。この火山の崩壊が起こるまでの数か月間にいくつかの活動の兆候があったことを報告する論文が掲載される。この論文では、そうした異常現象が観測された時にそれらを個別に検討した場合、その後の崩壊現象の発生を予測できるだけの決定的な現象とは判断されないと考えられるが、この観測結果は将来的に有用なものとなる可能性があると指摘されている。
アナク・クラカタウは、インドネシアの火山島で、その一部が2018年12月22日に崩壊し、それが引き金となって発生した津波によって、430人以上が死亡し、3万人以上が避難したが、事前の警告と思われるものはほとんどなかった。
今回、Thomas Walterたちの研究グループは、火山が一部崩壊した12月22日より前にいくつかの活動の兆候があったことを明らかにした。つまり、2018年1月にアナク・クラカタウ島の南西側の山腹が海に向かってゆっくりと移動し始め、その後2018年6月30日には同島で熱活動が活発化し、火山の一部崩壊までの数か月間に同島の表面積が拡大し続けていたのだ。Walterたちは、これらの要因がアナク・クラカタウ火山の山腹崩壊の原因究明に役立つのではないかと考えている。今回明らかになった観測結果は、他の火山島で山腹崩壊の監視体制の充実に寄与し、早期警報技術の精緻化にも役立つ可能性がある。
doi:10.1038/s41467-019-12284-5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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