Research Press Release
炭素燃料を使ってクリーンで効率の高い発電をめざす
Nature Communications
2011年6月22日
二酸化炭素排出量を削減し、身近に入手できる燃料を電気に転換する際の転換効率を高める固体酸化物燃料電池(SOFC)用の新しい負極材が開発された。この研究を報告する論文が、今週、Nature Communicationsに掲載される。 石炭ガスを燃料とするSOFCは、現在の石炭火力発電所の2倍の効率で発電でき、二酸化炭素排出量を50%削減できる能力がある。しかし、現行のSOFC用負極材は、(コーキングという過程のために)炭素の蓄積が起こりやすく、その結果、性能が低下する。今回、M Liuらは、新しい酸化バリウム/ニッケル負極材を発表した。この負極材は、炭素の蓄積を最小限に抑えながら、燃料の効率的な酸化を実現でき、また、炭素の除去を促進する水分を吸収するためにコーキングが防止され、炭素含有燃料を比較的低温で利用できる。 これまでの負極材の開発研究で得られたのは、極めて高コストの材料や非常に複雑で利用しにくい材料だった。これに対して、今回開発された酸化バリウム/ニッケル負極材は単純であり、高価な希少元素は含まれていない。
doi:10.1038/ncomms1359
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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