【動物行動学】ネコは自分の名前が呼ばれていることを認識している
Scientific Reports
2019年4月5日
イエネコは、ヒトが発声する自分の名前と他の単語を区別できることを、78匹のイエネコの調査によって明らかにした論文が、今週掲載される。
今回、上智大学の齋藤慈子(さいとう・あつこ)たちの研究グループは、イエネコが、自分の名前と他の名詞や他のネコの名前を区別できるかを調べた。先行研究から、イヌはヒトの言葉による指示に応答できることが明らかになっているが、ネコがヒトの言葉による意思表示を理解できるのかは、それほどよく分かっていない。
齋藤たちは、日本の家庭で飼われているイエネコと「猫カフェ」で飼われているイエネコ、計78匹を調べた。この研究では、研究グループの1人または飼い主が4種類の単語を発声してから、そのネコの名前を発声した。ネコが自分の名前を認知しているかは、自分の名前を聞いた時に反応(耳や頭、尾を動かす、または声を出す)があり、自分の名前の前に発声された他の単語のうち最初に聞いた単語に反応しその後の単語に対する反応が徐々に低下した(馴化)かどうかで判定された。イエネコは、自分の名前と同じ長さで同じ位置に強勢がある他の単語を、自分の名前と聞き分けることができた。
実験の結果、イエネコは、見知らぬ人が発声した場合でも、自分の名前と他の単語を聞き分けられることが判明した。自分の名前と一般名詞を聞き分ける能力は、日本の家庭で飼われているイエネコと猫カフェで飼われているイエネコでほぼ同等だったが、猫カフェのイエネコは、自分の名前と共同生活する他のネコの名前を聞き分ける能力が低かった。齋藤たちはこの行動の原因について、猫カフェのイエネコは頻繁に自分の名前と共同生活する他のネコの名前を聞いているため、自分の名前だけでなく、それらの名前の全てを報酬や罰と関連付けてしまっていることを挙げている。
doi:10.1038/s41598-019-40616-4
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
医学:豚からヒトへの腎臓移植の長期経過観察Nature
-
生態学:鳥インフルエンザがサウスジョージア島の繁殖期のゾウアザラシ個体数を半減させるCommunications Biology
-
人工知能:数学競技でメダル級のAIシステムNature
-
気候変動:ムンバイにおける異常降雨に関連した不均衡な死亡率Nature
-
加齢:多言語使用は老化の加速を防ぐかもしれないNature Aging
-
バイオテクノロジー:超音波がマウスの脳卒中後の脳内残留物を除去するのに役立つNature Biotechnology
