【考古学】デニソワ洞窟の住人に関する時系列が明らかに
Nature
2019年1月31日
デニソワ人とネアンデルタール人がデニソワ洞窟に居住していた頃の年表を精緻化する新たな年代について報告する2編の論文が、今週掲載される。
デニソワ人とネアンデルタール人がデニソワ洞窟に居住していた頃の年表を精緻化する新たな年代について報告する2編の論文が、今週掲載される。
今回、Zenobia Jacobs、Richard Robertsたちの研究グループは、光励起ルミネッセンス年代測定を行って、デニソワ洞窟の堆積物を調べた。この年代測定法は、石英などの特定の鉱物粒子が最後に太陽光にさらされてから経過した時間を推定する方法だ。今回の研究では、その結果から、およそ30万~2万年前のデニソワ洞窟における化石と人工産物の堆積時期を示す年表が作成された。研究グループの控えめの推定によれば、この洞窟にデニソワ人が居住していたのがおよそ28万7000~5万5000年前、ネアンデルタール人が居住していたのがおよそ19万3000~9万7000年前とされる。
一方、Katerina Doukaたちの論文には、デニソワ洞窟で行われた放射性炭素年代測定法によって新たに得られた50件の年代が紹介されており、新たに発見された3点のデニソワ人の断片化石についても記述されている。Doukaたちは、既知の全てのデニソワ人の化石を分析した上で、最も古い化石に基づいて、デニソワ人は早ければ19万5000年前からこの洞窟に居住していたという結論を示している。最も新しいデニソワ人の化石は、およそ7万6000~5万2000年前のものと決定された。また、骨製の尖頭器と歯製のペンダントの放射性炭素年代測定が行われ、これらの作製年代は4万9000~4万3000年前とされた。Doukaたちは、これらの人工産物が北ユーラシアで出土した最古の人工産物であり、デニソワ人が作製した可能性があるという仮説を提起している。
同時掲載のNews & Viewsでは、Robin Dennellが、「堆積物の性質と複雑性、および使用された年代測定法のため、これらの化石の詳細な年代については依然として不明な点が残っているかもしれないが、概要は明確になった」と述べている。
doi:10.1038/s41586-018-0870-z
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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