Research Press Release
【遺伝学】家畜化過程における類似した遺伝子標的、異なる解決策がヒツジとヤギの違いを生み出した
Nature Communications
2018年3月7日
ヒツジとヤギは、家畜化に関係する多くの遺伝的標的が類似しているが、お互いに類似した性質を得るための選択のパターンが異なっていたことが、それぞれの野生近縁種のゲノム解析によって明らかになった。この結果を報告する論文が、今週掲載される。
これまでにさまざまな家畜が、従順さ、成長の速さ、スタミナといった特定の形質を獲得するために選択的に交配されてきた。ヒツジの野生原種であるアジアムフロン(Ovis orientalis)とヤギの野生原種であるパサン(Capra aegagrus)は、それぞれ約1万500年前に中東(具体的にはアナトリア南東部とイランのザグロス山脈)で家畜化されたことが判明し、家畜化の特徴を示す証拠を探索するまたとない機会が得られた。
今回、Francois Pompanonたちの研究グループは、アジアムフロンとパサンのゲノムの塩基配列の解読と解析を行い、家畜ヒツジと家畜ヤギのゲノムとそれぞれ比較した。野生集団から家畜集団が選択された痕跡を示すゲノム領域として同定された90領域のうちの20領域はアジアムフロンとパサンに共通していたが、選択のパターンが異なっていた。この結果は、ヒツジとヤギには家畜化に際して共通の遺伝的標的があったにもかかわらず、異なる解決策が用いられ、最終的によく似た特定の性質を示すに至った可能性を示唆している。
doi:10.1038/s41467-018-03206-y
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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