Research Press Release

【医学研究】ナノサイズのかぎ爪で細菌を捕まえる

Nature Communications

2018年2月7日

ハエトリグサの葉が素早く閉じる機構から着想した新しい透析装置(血液を浄化する装置)を紹介する論文が、今週掲載される。この装置に用いられる透析材料はナノメートル単位の太さのワイヤーでできており、このワイヤーに細菌が触れると先端が曲がって鉤爪のようになり、細菌をしっかりと捕まえることができる。

感染症の患者に抗生物質を投与しても効かない場合、細菌を除去するもう1つの方法は、患者の血液を浄化することだ。この血液浄化過程では、片方の腕に注射針を刺して、体内の血液を体外に出して透析装置を通し、もう一方の腕に刺した注射針から体内に戻す。しかし、血流が速すぎるために細菌を捕獲しても透析材料の中にとどめておくことができず、血流中に戻ってしまうことがある。

今回、Tie Wangたちの研究グループは、透析材料として利用できるナノワイヤーを混ぜた発泡体を開発した。それぞれのナノワイヤーの先端には細菌を認識する検知素子がついており、このナノワイヤーが細菌に触れると、すぐに先端部分が曲がって細菌を捕獲し、血流の力に抗して細菌を保持する。

Wangたちはこの新規材料について、一般医療における有効性と安全性を評価するための臨床試験が必要なことを指摘している。

doi:10.1038/s41467-018-02879-9

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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