Research Press Release

【天文学】反復する高速電波バーストの発生源は極限環境にある中性子星かもしれない

Nature

2018年1月11日

唯一知られた反復する高速電波バーストの発生源が、極限環境にある中性子星である可能性を示した論文が、今週掲載される。

高速電波バーストは、銀河系外で数ミリ秒間継続する電波閃光だが、その物理的な起源はよく分かっていない。反復する高速電波バーストの発生源として唯一知られているのがFRB 121102で、赤方偏移(距離を表すために用いられるパラメーター)が約0.2の矮小銀河の星形成領域に位置することが明らかになっている。しかし、この高速電波バーストの起源、バースト源の性質とその局所環境の特性については、いまだに論争が続いている。

今回、Jason Hesselsたちの研究グループは、アレシボ天文台にあるウィリアム・E・ゴードン電波望遠鏡を用いて、FRB 121102を発生源とする16回のバーストを検出した。これらのバーストのファラデー回転(電波がプラズマの磁場を透過する際に電波の偏光面が回転する現象)の測度は非常に高く、ばらつきがあった。この結果からは、FRB 121102が極めて強い磁場と極度の高温の環境にあることが示唆されている。これまでにそのような条件は、大質量ブラックホールの近傍で観測されたことがあるが、こうした特性は、他のモデルによっても説明できる可能性がある。そのような苛酷な環境にある中性子星がバーストの発生源であることがバーストの短い継続時間から示唆される点をHesselsたちは指摘している。

FRB 121102の活動レベルは、他の高速電波バーストよりも著しく高く、Hesselsたちは、その主たる原因がFRB 121102が位置する環境だと推論している。

doi:10.1038/nature25149

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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