Research Press Release

沿道NO2排出は予想よりも低かった

Nature Geoscience

2017年11月28日

ヨーロッパの沿道窒素酸化物(NOx)排出に占める二酸化窒素(NO2)の割合は、汚染予測で仮定されている量の2分の1であるとことを示した報告が、今週掲載される。従ってこの研究は、NO2濃度を規制しているヨーロッパの沿道大気質基準は、予想よりも早く達成される可能性があることを示唆している。

ヨーロッパでは新車の排出基準はNO2と一酸化窒素(NO)を包含した窒素酸化物(NOx)を規制している。これらの排出は、ヨーロッパではおよそ1990年以降減少している。それに対して、大気環境基準はNO2濃度にのみ制限を課しており、NO2沿道濃度は予想よりも減少していなかった。それは主に、ヨーロッパではディーゼル車の利用が増加しておりNO2の排気管からの直接的な排出が原因である。

Stuart Grangeたちは、ヨーロッパの61か所の都市で沿道監視点で得られた、NOx、NO2およびオゾン(O3)に関する1億3000万時間に及ぶ測定結果を分析した。彼らは、NOxにおけるNO2の割合は1995年から、およそ2010年まで増加したが、それ以降はほとんどの地域で一定か、あるいは減少しており、大気環境基準で仮定されている値よりも低い量を保っていることを見いだした。著者たちは、NOxにおけるNO2の割合に対して高すぎる値を用いた大気環境の政策予測は、同じ全NOx排出量に対して実際よりも高すぎるNO2沿道濃度を予想していると示唆している。

関連するNews & Viewsの記事でDrew Gentnerは、「今後この発見は、典型的に中古車を継承し米国やヨーロッパの排出基準からやや遅れている、ディーゼル車への依存度が高い発展途上地域において、大気質政策を啓発するために重要となる」と書いている。

doi:10.1038/s41561-017-0009-0

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

「注目のハイライト」記事一覧へ戻る

プライバシーマーク制度