光コヒーレンストモグラフィーのノイズを減らして画像を鮮明にする
Nature Communications
2017年6月21日
光コヒーレンストモグラフィー(OCT)は一般的な臨床画像診断法の1つだが、今週掲載される論文では、微細な目的物をこれまでより鮮明に観察できる次世代のOCTについて説明されている。この新しい手法を用いると、従来のOCTではできなかった生きたマウスの眼や人間の指先の中の構造の検出を実現でき、皮膚がんや網膜疾患の早期発見を目的とした臨床応用ができる可能性が生まれている。
スペックルノイズという現象は、コヒーレント光(同じ周波数の光子のビーム)による画像化において実際とは異なる画像(アーチファクト)が生じることで、これによってOCTの診断への応用可能性が制限されている。コヒーレント光は散乱し、散乱光同士が干渉するため、OCT画像の全ての点がランダムに明るくなったり暗くなったりするのだ。これまでに発表されたスペックルノイズを除去する方法には、画像がぼやける問題があり、それが診断能力の改善の制約となっていた。
今回、Adam de la Zerda、Orly Libaたちの研究グループは、新しい方法でこの問題の解決に取り組み、スペックルノイズのパターンを能動的に調節し、試料に光を照射するための光源を実質的に操作することで、解像度を損なわずにイメージングアーチファクトを除去することに成功した。そして、de la Zerdaたちは、生きた動物の組織中の小構造で一般にスペックルノイズのために明瞭な検出ができなかったもの(例えば、マウスの角膜のいろいろな部分、マウスの耳の微細構造、ヒトの指先の皮膚の中にある汗管)が、この改良法によって検出できることを明らかにした。
doi:10.1038/ncomms15845
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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