Research Press Release
家系研究で新たに見つかった精神病の遺伝子
Nature Genetics
2017年6月20日
精神病(サイコーシス)と関連する遺伝子が新たに見つかり、心の病気に関する新たな生物学的理解が提供された。
今回、Kari Stefanssonたちの研究グループは、精神病の症状を持つ人が10人含まれるアイスランドの大家系を対象にゲノム塩基配列を解析して、これら10人全員のRBM12遺伝子に短縮型変異があることを明らかにした。また、精神病の症状を持つ人を含むフィンランドの家系でも、RBM12遺伝子の短縮型変異が同定された。このように当初の結果が再現されたことは、RBM12遺伝子が神経機能の維持に必要なことを示す有力な証拠となっている。
精神病の症状を持つ人全員にRBM12遺伝子の変異が見つかった一方で、この変異遺伝子を1コピー持つものの精神病と診断されていない人がいた。ただし、この遺伝的変異の保有者は、この変異を持たない人々とは対照的に、非精神病性の精神疾患と認知機能障害の症状が見られた。この結果は、RBM12遺伝子が正常な脳の機能にとって重要であることをさらに証拠立てる知見となる。Stefanssonたちは、RBM12遺伝子の機能に関するさらなる知見を得ることが、神経心理学的疾患の解明を進め、その治療法候補の発見に寄与すると結論づけている。
doi:10.1038/ng.3894
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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