【気候科学】バイオ航空燃料による微粒子排出量の削減
Nature
2017年3月16日
在来型燃料とバイオ燃料をブレンドした燃料を使用することで、巡航状態の航空機のエンジンから排出される微粒子の量が在来型燃料を使用する場合の50~70%削減されるという報告が、今週掲載される。これは、バイオ燃料を使って飛行する航空機の環境影響に関する重要なデータというこれまで報告のなかった知見であり、気候変動を緩和するための実行可能な方法としての航空機用バイオ燃料の可能性を評価する上で貴重な知見となる可能性がある。
航空機のエンジンから放出されるエアロゾルは、雲(飛行機雲)の形成に寄与し、こうした雲は、太陽光との相互関係を介して、あるいは大気中の水分量を変化させることによって気候に影響を及ぼすことがある。持続可能性のあるバイオ航空燃料については、エアロゾル排出量を削減する可能性の評価が行われているが、これまでの試験は地上で行われたものであり、エンジンの作動条件が飛行中とは非常に大きく異なっている。
今回、Richard Mooreの研究チームは、4基のエンジンを搭載した航空機をテスト機として用い、それぞれのエンジンに在来型のジェットA燃料かブレンド燃料(ジェットA燃料とカメリナ油に由来するバイオ燃料のブレンド)を注入し、大気中で微粒子排出量の測定を行った結果を報告している。この研究では、研究用航空機が、高度30,000~36,000フィート(9,140~10,970メートル)を飛行するテスト機のエンジンの後方約30~150メートルの位置を追尾して観測を行った。このブレンド燃料を使用することで、在来型燃料と比べてエアロゾル排出量が著しく削減されたが、高推力設定での削減率が中推力、低推力設定の場合ほど顕著でなかった。また、今回の実験では、バイオ航空燃料の利用が気候変動の緩和に役立つ実行可能な方法なのかどうかを評価するためのモデル化研究に役立つ可能性のある特定の種類のエアロゾル粒子の排出に関する情報も得られた。
doi:10.1038/nature21420
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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