【神経科学】10代の若者の薬物使用に関する問題行動を脳活動から予測する
Nature Communications
2017年2月22日
14歳の時点における報酬の期待に対する脳の応答をもとに、16歳の時点で薬物使用に関する問題行動を起こすかどうかを予測できることが明らかになった。この研究結果の報告が、今週掲載される。
青年期には、衝動的で軽率な意思決定が行われることが多く、スリルと新しいことを求める一般的な傾向が見られる。この種の行動は、危険を伴う意思決定をしやすくするために有害であることが多いが、その一方で青年期の男女が新たなチャンスを見つけ、探求することを促進するので有益な場合もある。通常、この新奇探索行動は、動機付けに応答する脳内ネットワークの活動を伴っている。しかし、こうした脳の活動からプラスの行動あるいはマイナスの行動を予測できるタイミングは分かっていない。
今回、Christian Büchelの研究チームは、新奇探索傾向を示す青年期の男女144人を14歳から16歳まで追跡調査した。全ての被験者は、詳細な心理測定評価を完了してから、被験者が金銭的報酬を期待するようになる課題を行い、その際の脳の活動を機能的磁気共鳴画像法で観察した。その結果から、14歳の時点で、金銭的報酬への期待に対する応答として動機付けに関連する脳領域の神経活動が低下した者の方が16歳の時点で問題のある薬物常用癖を持つ可能性が高いことが明らかになった。この神経マーカーは、もっと一般的な心理測定指標(例えば誠実度が低いこと)よりも予測能力が高く、研究者と臨床医が問題行動を起こしやすい者を特定して、問題行動の発生前に介入するための新しい方法となる可能性のあることが示唆されている。
doi:10.1038/ncomms14140
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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