Research Press Release

【気候変動】地球温暖化に動じない植物

Nature

2016年3月17日

植物の呼吸は、地球温暖化のような気温上昇に順化でき、それはこれまで考えられていたよりもかなり強い順化であることを報告する研究論文が、このたび掲載される。今回の研究で、長期的気温上昇に対する高木の呼吸速度の適応が過去の短期研究で示されていた以上に効果的であることが明らかになったのだ。植物は、地球温暖化に伴って呼吸速度を上げて二酸化炭素排出量を増やすことによって地球温暖化を加速する役割を果たすとされていたが、それほど大きな役割ではない可能性の高いことが示唆されている。

植物の呼吸は、大気中の二酸化炭素濃度に大きく寄与し、植物の大気中への二酸化炭素排出量は化石燃料を燃焼した場合の6倍に達している。植物の呼吸は、気温に比例して増加するため、地球温暖化が、正のフィードバックループを引き起こす可能性があるという考えが示されていた。しかし、植物は温度上昇に対して、その代謝を調節して順化できるため、このフィードバックループが相殺される可能性があり、長期的気温上昇に対する順化の程度は分かっていない。

今回、Peter Reichたちは、北米の森林状態の高木種10種を対象として、3~5年間にわたって葉の呼吸が摂氏3.4度の温暖化に順化する過程を測定した。順化しない場合に葉の呼吸が23%増大すると予想されていたが、順化が起こったために呼吸はわずか5%しか増大せず、順化しない高木について予想された葉呼吸の増大分の80%が現実に起こらなかったことが明らかになった。Reichたちは、地球温暖化による陸生植物の呼吸速度の上昇とそれに伴う大気中二酸化炭素濃度の上昇が予測を下回る可能性があるという考えを示している。

doi:10.1038/nature17142

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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