【保全】紺碧の深海での生物多様性
Nature
2016年5月12日
深海における生物多様性のパターンは、浅い海域や陸上において種の豊かさを支配するパターンとは根本的に異なっていると結論づけた論文が、今週のオンライン版に掲載される。今回の研究では、ヒトデの近縁種であるクモヒトデ類の数千種について全球的分布の分析が行われ、深海漁業と深海採鉱からの圧力が増している海底での保全活動の基本線が明らかになっている。
深海環境は地球上で最大の生態系だが、その解明は最も遅れている。そこには非常に多様な生物が生息しているが、深海における種の多様性の解明は進んでおらず、その全球的評価に関する研究報告はこれまでなかった。
今回、Skipton Woolleyたちは、千回以上の現地調査によって得られたデータを用いてクモヒトデ類の2,099種の分布を明らかにした。Woolleyたちは、大陸棚(水深20~200メートル)、大陸斜面の上部(水深200~2,000メートル)、深海(2,000~6,500メートル)の3つの大洋深度での生物多様性のパターンを比較した。その結果分かったことは、深海における種の豊かさが、大陸棚や大陸斜面の上部の場合よりも高緯度域で最大に達することだった。浅い海中での多様性は海水温の変動によって十分に説明できるが、深海での多様性は海水温とは相関しておらず、むしろ(入手可能な食料を反映する)化学エネルギーの輸送が大きいことと相関している。また、大陸縁辺部(大陸と海底の境界部)に近いことが、深海における多様性の有意な予測因子であることも分かった。
doi:10.1038/nature17937
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