【気候科学】アジアモンスーンの64万年の歴史
Nature
2016年6月30日
中国の洞窟で見つかった石筍の分析が新たに行われ、アジアモンスーンの多様性に関するこれまでで最も詳細で正確な記録が得られ、その記録が過去64万年分に拡張された。今回の研究は、ウラン年代測定法とトリウム年代測定法の能力の限界に迫るものであり、地球に到達する日射量の周期的変化が直近の7つの氷期の終了の一因になった可能性を示唆している。この新知見について報告する論文が、今週掲載される。
洞窟内生成物の酸素同位体レベルは、過去の気候条件(例えば、気温、モンスーンの強さ)を決定するために用いることができ、酸素同位体記録とウラン年代測定とトリウム年代測定を組み合わせると気候条件の年代決定を非常に正確に行うことができる。今回、Hai Chengたちは、中国中央部のSanbao洞窟の入り口から1.5 kmの地点で地中深くから採集された4つの石筍に最近改良されたウラン年代測定とトリウム年代測定法とこれまでに作成された記録を適用して、64万年前から西暦1950年までのアジアモンスーンの強さが詳しく記述された複合酸素同位体記録を構築した。
次にChengたちは、この記録と海洋酸素同位体記録を組み合わせて最近の7つの氷期の終期を正確に決定した。その結果、地球の歳差周期を原因とする北半球の太陽放射(日射)の変化によって最近の7つの氷期が終了したことが確認された。歳差周期とは、約2万年の周期で地球の自転軸の向きが徐々に変化することで、その様子は回転するコマの首振り運動に似ている。また、Chengたちは、太陽放射の変化が今回の研究で明らかになった1000年周期のモンスーンの強度の変動に影響を与えることを明らかにしている。
doi:10.1038/nature18591
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