【古生物学】オーストラリアに到達していたティタノサウルス
Scientific Reports
2016年10月20日
竜脚類は、大型の草食恐竜で、首と尾が長い。今週、オーストラリアで生息していた竜脚類の新属新種の骨格化石と別の竜脚類の初めての頭蓋化石について記述されたStephen Poropatたちの論文が掲載される。この2つの化石標本は、白亜紀後期(約9500万年前)のものであり、これらの恐竜がオーストラリアに到達した経緯を明らかにする上で役に立つ可能性がある。
この論文には、オーストラリア北東部のクイーンズランド州にあるウィントン層で見つかった竜脚類の2つの化石標本について記述されている。その1つは新属新種(Savannasaurus elliottorum)の化石だ。Poropatたちは、系統発生解析によって進化上の類縁関係を調べた結果と解剖学的構造をもとに、この竜脚類の2個体がティタノサウルス類の恐竜だったと結論づけている。
Poropatたちは、先史時代のティタノサウルス類の分布を分析し、オーストラリアの竜脚類が、白亜紀前期(約1億2500万年前)に全世界で生息していたクレードの末裔だと考えており、これらの竜脚類が南米に出現し、南極大陸を横断して、オーストラレーシアに到達したという考えを示している。しかし、植物相に関する研究結果からは、1億2000万年~1億1000万年前の南極と南米の間には気候的な障壁があったことが示唆されている。Poropatたちの仮説では、温暖化の期間があって南極と南米の間の障壁がなくなり移動が容易になったために約1億500万年前にティタノサウルスがオーストラリアに出現したという見解が示されている。
doi:10.1038/srep34467
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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