植物を守る甘い出液
Nature Plants
2016年4月26日
ズルカマラという植物は葉を齧る草食動物が加えた傷からじかに甘い蜜を出し、それがその草食動物を攻撃するアリを誘引するため間接的な防御機構として働いていることを、今週のオンライン版に掲載される論文が明らかにしている。
植物は受動的な生物ではない。極めて多様な植物の多くは、授粉には関与しない花外蜜腺と呼ばれる特殊な腺を用いて蜜を分泌し、草食動物の天敵を誘引する。しかし、特殊な構造体や腺によらずに、傷からじかに出される蜜へ捕食者を誘引する例は、これまでは観察されたことがなかった。
Anke Steppuhnたちは、草食動物に齧られたズルカマラ(Solanum dulcamara)が新しい傷口から小滴を分泌することを発見した。化学的には植物の汁液よりも蜜に近く砂糖水で模することができるこの小滴は、野外のこの植物の周囲で採餌しているのがたびたび観察されている少なくとも3種のアリを誘引した。温室実験で、アリはトビハムシの(成虫ではなく)幼虫およびナメクジの成体を強烈に攻撃することにより、植物体を防御した。研究チームは、ズルカマラの傷からの分泌が、他の植物とは異なり、何らかの特別な構造体と関係するものでもなければ、何らかの特定部位に限定されるものでもないことを明らかにした。傷からじかに蜜を出すことは明確な生態学的・適応的役割を果たしており、他の植物で観察されている花外蜜腺構造の進化の重要なステップとなった可能性がある、と結論付けられた。
doi:10.1038/nplants.2016.56
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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