COMETがエピジェネティックな調節を照らし出す
Nature Chemical Biology
2016年3月15日
ヒト細胞の遺伝子発現をきわめて正確に制御する新しい技術が、今週のオンライン版に掲載される論文で発表される。この研究は、遺伝子発現に関与する酵素群の活性が、特定の種類の光を照射されたときにのみ働くように設計された阻害物質を利用することによって制御できるようになったことを実証している。これは、オプトエピジェネティクス分野で最初の有力なツールである。
オプトジェネティクス(光遺伝学)の分野は、特定の場所、時間、および照射量の光の存在下で細胞の挙動および生物学的機能の制御を可能にする。しかし、遺伝子発現を調節する酵素を制御する能力は得られていなかった。
今回の研究で、Stephen Haggarty、Ralph Mazitschekたちは、COMET(chemo-optical modulation of epigenetically regulated transcription;エピジェネティックに調節される転写の化学光学的調節)という方法を考案した。これは、DNAの転写に不可欠な酵素群であるヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の作用を、光の照射によってスイッチのオンオフを切り替える小分子HDAC阻害物質を利用して遮断するものである。研究チームは、青色光を照射するとHDAC活性が消失してDNAの転写調節に相応の変化が生じる一方、照射を停止するとそうした変化が元に戻ることを明らかにし、光照射の反復的なパターンによって遺伝子発現が迅速に調節されることを示した。そして、遺伝子の調節に関与する酵素の活性を光で変化させることが、神経変性や一部のがんなど、エピジェネティックな調節の異常を特徴とする疾患の新しい治療法となる可能性があることを指摘している。
doi:10.1038/nchembio.2042
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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