古代の琥珀から先史時代の花弁
Nature Plants
2016年2月16日
琥珀(大昔に枯れた樹木の化石化した樹脂)の中で保存された古代の新種の花がドミニカ共和国で発見され、今週のオンライン版で報告される。その2点の化石は、多様性の高さでは指折りの現生植物群であるキク類(ヒマワリ、コーヒーノキ、トウガラシ、ジャガイモ、およびミントなどが含まれる)を代表する種のもので、新世界の琥珀の中に発見された最初の花である。
小型の昆虫やその他の生物は、固化する前の樹脂に閉じ込められ、生じた琥珀の中で何百万年にもわたってほとんど変化することなく保存される場合がある。
George PoinarとLena Struweは、ドミニカ共和国のセプテントリオナル山脈の鉱床から産出した別個の琥珀2片を紹介している。封入された花(長さは1 cmにわずかに届かない)を注意深く調べた結果、それがマチン属(Strychnos)の植物であることが分かった。マチン属には、毒物ストリキニンを抽出するマチン(S. nux-vomica)も含まれる。研究チームは、ギリシャ語で琥珀を意味するelektronにちなみ、その新種をStrychnos electriと命名した。琥珀の正確な年代測定には困難が伴うため、研究チームは2種類の証拠を用いて、その化石が遅ければ1500~2000万年前、早ければ3000~4500万年前に形成されたものである可能性を示唆している。
今回の化石は、南北アメリカ大陸がパナマ地峡でつながるはるか以前、中期第三紀に存在した新熱帯区カリブ森林の発達および構成の解明に寄与するものである。
doi:10.1038/nplants.2016.5
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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