Research Press Release

【遺伝】朝型生活をさせる遺伝子

Nature Communications

2016年2月3日

夜型生活より朝型生活を好むことに関連する遺伝的変異が同定されたことを報告する論文が掲載される。この研究では、朝型生活を好む者は早寝早起きで、夜型生活を好む者は起床時刻も就寝時刻も遅いと定義された。

24時間周期を有する概日リズムは、生まれつきの朝型生活と夜型生活の好みなど数多くの生物学的過程に影響を及ぼす。これまでに数種類の遺伝子について、遺伝子産物が概日リズムを制御していることが知られているが、これらの遺伝子が朝型生活の好みと関連しているのかどうかは明らかになっていなかった。

今回、David Hindsたちは、89,283人を対象とした全ゲノム関連解析(GWAS)を行った。被験者は、インターネット調査において、朝型生活と夜型生活のいずれが好みなのかを自己申告した。その結果、健常者の朝型生活の好みに関連する遺伝的変異が同定され、その一部が、概日リズムを制御することが知られている遺伝子の近くに位置していることが明らかになった。また、光感知を制御する遺伝子の近くに位置する遺伝的変異も同定され、それも朝型生活の好みと関連していることが判明した。

今回の研究では、朝型生活を好むという自己申告が睡眠障害と高いボディマス指数(BMI)に関連していることが多いことも分かったが、因果関係を示す証拠は見つからなかった。こうした遺伝的変異が同定されたことは、概日リズム、睡眠と睡眠関連疾患に関する今後の研究に役立つとHindsたちは考えている。

doi:10.1038/ncomms10448

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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