【進化】タップを踏む鳥たち
Scientific Reports
2015年11月19日
鳴禽の一種であるルリガシラセイキチョウの雄と雌が、求愛ディスプレイの一環として「タップダンス」を行うことが明らかになった。この行動は、通常、肉眼では確認できないが、今回の研究では高速度カメラ技術を用いて観察が行われた。この研究結果を報告する論文が、今週掲載される。
ルリガシラセイキチョウは社会的一夫一婦制の鳴禽で、雄と雌の両方が求愛ディスプレイを行う数少ない鳥類の1種だ。ルリガシラセイキチョウが求愛ディスプレイを行う際には、くちばしで巣材のかけらをくわえ、頭を上下に振ってリズミカルな音を出しながらさえずる。
今回、北海道大学の相馬雅代(そうま・まさよ)たちは、高速度ビデオカメラを用いて、16羽のルリガシラセイキチョウの求愛ディスプレイの解析を行った。その結果、雄も雌も求愛ディスプレイにおいて素早くステップを踏んでいることが判明した。通常、この行動を目で確認することはできない。ルリガシラセイキチョウは、頭を上下させるボビング行動において、それぞれ頭を上に向けて、ひょいと跳び、止まり木を何回か踏み鳴らしていた。相馬たちは、雄と雌のいずれも配偶相手が同じ止まり木にいる場合に通常より熱心に踊ったことも指摘している。
ルリガシラセイキチョウは、ステップを踏む行動を行うことで、求愛ディスプレイにおいて複数の方法(つまり、音響信号、視覚信号、触覚信号)でコミュニケーションを図れるようになったと相馬たちは考えている。また、ステップを踏むタイミングがさえずりと協調していると考えられることも明らかにされている。さえずり行動とボビング行動とステップを踏む行動が個体内と配偶者間で協調する過程を解明するための研究の継続が必要とされる。
doi:10.1038/srep16614
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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