Research Press Release
【微生物学】微生物が醸し出すワインの地域特性
Scientific Reports
2015年9月25日
ワインの風味と香気は、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)の集団の遺伝的差異に影響されている可能性があるという報告が、今週掲載される。
独特な物理的特徴と感覚的特徴を持つ地域独自の産品は、同じ遺伝子や極めてよく似た遺伝子を持つ作物から生み出されることがある。作物の地域差は、遺伝子間の相互作用、各地域の土壌、気候と農業のやり方が原因になっているとこれまで考えられていた。これに対して、農産物の地域特性(テロワール)と微生物が関連しているという考えが提起されているが、その検証は行われていない。 今回、Sarah Knight、Matthew Goddardたちは、ニュージーランドの6つの主要なワイン生産地域から遺伝的に異なる6つの出芽酵母の集団をそれぞれ入手し、ワインのテロワールに対する出芽酵母の影響を調べた。そしてKnightたちは、ワイン発酵時に酵母から産生され、ワインの風味と香気に影響を及ぼす39種の化合物(エステル類とアルコール類を含む)の濃度を定量化し、39種中29種の化合物について、酵母の入手先による変動が認められることを明らかにした。
Knightたちは、この他の真菌種や細菌種もワインの特徴に寄与している可能性があり、さらなる研究が必要であることを指摘している。
doi:10.1038/srep14233
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
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