Research Press Release
出発点に立つクォーク
Nature Physics
2015年7月28日
クォークと呼ばれる基本粒子について、異なるクォーク間の結合の強さのこれまでで最も正確な測定結果が、今週報告される。この測定結果によって、素粒子物理学の標準模型の基本的な入力パラメーターが得られ、標準模型の正確さが厳密に検証される。
基本粒子の性質と相互作用を記述する素粒子物理学の標準模型では、いわゆるカビボ・小林・益川(CKM)行列によって、あるクォークから他のクォークへの崩壊が記述される。標準模型を維持するには、さまざまな素過程から得られるCKM行列の入力パラメーターが互いに一致していなければならない。LHCb collaborationは、最近行われたCERNの大型ハドロン衝突型加速器の技術的な改善を利用して、クォーク3個でできた粒子であるバリオンの崩壊に基づくCKM行列要素の測定を初めて行ったことを報告している。
今回の方法の結果は、クォーク2個からなるメソンの崩壊に基づく以前に報告された方法の結果と相補的である。こうした測定結果は、CKM行列のフィッティングパラメーターの定量的な解明に大きな影響を及ぼし、標準模型の考えられる全ての拡張に制約条件を与えることができると予想される。
doi:10.1038/nphys3415
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
-
動物の行動:犬はおもちゃにすっかり夢中Scientific Reports
-
社会科学:オンライン上で歪められた年齢とジェンダーの表象Nature
-
材料科学:通常のプラスチックと同等の強度を持つ生分解性の竹プラスチックNature Communications
-
材料:海洋から回収した炭素を生分解性プラスチックに変換Nature Catalysis
-
動物の行動:ネグレクトされた子犬は成犬になるとより攻撃的で恐怖心が強くなるScientific Reports
-
遺伝学:自閉スペクトラム症の遺伝的に異なる形態Nature