Press release

Nature Communications のデータによると、オープンアクセスの論文の方が閲覧数とダウンロード数が多いことが判明

2014年7月31日

オープンアクセス(OA)の論文は、定期購読方式の論文よりも、3倍も多く閲覧されていることが明らかになりました。Nature Communications に掲載されたこの研究は、Research Information Network(RIN;英国)が実施したもので、著者たちは、公開されている論文に関して独自の統計分析を行いました。この研究ではさらに、OA論文の引用回数は定期講読方式の論文よりも多いことが明らかとなっています。

ネイチャー・パブリッシング・グループ/パルグレイヴ・マクミラン社のオープンリサーチ部門のSam Burridgeはこう語っています。

「オープンリサーチが論文の利用・引用の増加に寄与するかどうかが議論されていますが、我々は Nature Communications という優れたテストケースを持っています。Nature Communications は、掲載する全ての論文が質の高い独創的な研究成果であると同時に、その論文がOAであれ定期購読方式であれ同等に対応するハイブリッドな学術雑誌であり、十分な規模のサンプルを提供することができます。」

「論文の引用に及ぼすオープンリサーチの効果が、研究活動のあらゆるレベルにおいて望ましい影響を与えることは明らかです。OA論文が定期購読方式の論文よりも閲覧・引用されているかという質問への回答としてこの事実が決定的なものではないことは認識していますが、こうした寄与は議論を高めるものと考えています」。

RINは、2013年の上半期に発表された722件の論文のWebトラフィックを分析し、HTML形式では、OA論文が定期購読方式の論文の2.9倍、またPDF形式では2.2倍閲覧されていることを明らかにしました。

発表後180日間で、定期購読方式の論文の閲覧回数は、HTML形式で平均(中央値)804回、PDFのダウンロード回数は平均399回でした。対照的に、OA論文のHTML形式の閲覧回数は平均2051回、PDFのダウンロード回数は平均904回でした。

OAが引用に及ぼす効果をさらに大規模なデータセットで評価するため、RINの統計学者は、2010年4月~2013年6月に発表された2008報の論文のデータを分析しました。その結果、OAで発表された論文の引用回数は11回(中央値)であるのに対し、定期購読方式の論文の引用回数は7回(中央値)であり、統計的に有意な差があることが分かりました。なお化学は唯一、OAによる発表で定期購読方式の論文より多くの引用がなされていない分野でした

RINのMichael Jubbはこう語っています。

「OAが、論文の引用、そして、とりわけオンラインの可視性という点で優れていることを示す文献が増えており、今回の調査も同様の結果を示した例の1つです。これまで、論文が1つ以上のレポジトリで登録されているかどうかや、著者の人数や場所など、閲覧や引用に影響を及ぼす可能性がある全ての要因を照合することはできませんでした。しかし、今回の分析結果によって、OAが著者・読者双方により良い影響を与えることを確信しました」。

2010年に創刊された Nature Communications は比較的新しい学術雑誌で、その機関購読者数は現在も増加しています。今回得られた結果は、最終的な結論というよりは、学術雑誌の発展の過程における一場面と考えた方が良いでしょう。

Thomson Reuters 2014が著作権を持ち、Web of Scienceによる許可の下で転載する完全なデータセットは、figshare(http://figshare.com/authors/Nature_Communications/598818)でご覧ください。RINのレポートは、こちら(http://www.nature.com/press_releases/ncomms-report2014.pdf)でご覧下さい。

以上

この記事に関するお問い合わせは、次の担当者までお願いします。

Amy Bourke
Corporate Communications Manager
Nature Publishing Group/Palgrave Macmillan
E: amy.bourke@palgrave.com
T: 020 7843 4603 | M: +44 (0) 7703717212


原文:http://www.nature.com/press_releases/ncomms-report.html

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