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【地球科学】石器時代の技術革新と気候変動とのつながり

Nature Communications

2013年5月22日

Earth Sciences: Stone Age innovation linked to climate change

初期現生人類集団における技術革新(黄土の彫刻による象徴的表現、石器や骨角器、貝の宝飾品、苗床構造など)の引き金となったのは、中石器時代における急激な気候の変化だったことが明らかになった。

現生人類の起源は、中石器時代(28万~3万年前)のアフリカだった。考古学的研究が行われ、いくつかの重要な技術の進歩が突然のパルスのように起こったことを記述した論文が発表されており、こうした論文には、現代的な行動の出現が反映されている。しかし、文化的進化の背後にある要因と現生人類の行動の出現に関する論争は、長い間、続いている。今回、Martin Zieglerたちは、南アフリカの東ケープ州沿岸沖で採取された海洋堆積物コアのデータを調べた。このデータには、こうした技術革新のパルスが起こった時期の気候事象の記録が含まれている。今回の研究結果は、急激な気候変化と初期人類における複雑な文化の発生との直接の結びつきを示唆している。

このように海洋堆積物に記録された気候の変動は、南アフリカでの乾燥状態と湿潤状態の変動につながった大西洋の海洋循環の変化と関係しており、人類にとっての望ましい環境条件の形成とも関係している可能性がある。このことは、初期現生人類の行動における技術革新のパルスが、気候的な影響を受けており、アフリカ南部の望ましい湿潤条件と結びついていたことを強く示唆している。

doi: 10.1038/ncomms2897

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