注目の論文
衰退する三角州
Nature Geoscience
2009年9月21日
Deltas in decline
過去10年間に世界最大級の三角州の85%が大洪水に見舞われていたことが、Nature Geoscience(電子版)に掲載されるレビュー論文で明らかにされている。21世紀に予想どおりの海面上昇が起これば、洪水の被害を受けやすい三角州の面積が50%増える、と予測されている。
J Syvitskiらは、世界の33の主要な三角州系の全般的状況を、人工衛星による測定と歴史地図を用いて評価した。その結果、海面上昇によっても水没しなかったのは9つの三角州だけで、そのうちの4つはぎりぎりで水没を免れていたことが判明した。Syvitskiらは、三角州表面が相対的に沈下していることの主たる原因として、人間活動による干渉を挙げる。すなわち、沈下の進む三角州は、上流部でのダム建設や河川の流路変更の影響を受け、三角州に新たに運ばれる堆積物の量が減っていたのである。また、一部の三角州では、石油やガスの掘削による堆積物の圧密も起こっていた。
温室効果ガスの放出によって海面水位上昇率が増加するということは、既に被害を受けやすくなっている領域で、河川の増水や高潮による洪水の被害を受けるおそれがひたすら大きくなることを意味している。
doi: 10.1038/ngeo629
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