注目の論文

土壌の煤は陸上からの二酸化炭素放出に影響を与える

Nature Geoscience

2008年11月17日

Black carbon in soils affects terrestrial carbon dioxide release

オーストラリアのサバンナと草原の土壌から温度の上昇に伴って放出される二酸化炭素の量は、Nature Geoscience(電子版)の研究によれば、これまで予測されていたよりも低いらしい。1年を通じて土壌の有機炭素から放出される二酸化炭素は、人工的な二酸化炭素放出量をすべて足し合わせた量よりも1桁大きく、地球温暖化と共に増加すると予想されている。

J Lehmannらは、オーストラリア全域の何百もの地点で保存されていた土壌試料を解析した。彼らの解析によると、野火により生成される煤が全土壌炭素のかなりの部分を占めている。この観測に基づく土壌中の煤の見積もりを地域的な土壌モデルに用いると、3℃の温暖化シナリオに基づいたオーストラリアの2カ所のサバンナ地域から放出される二酸化炭素の予測量は、それぞれこれまでの計算よりも18.3%と24.4%低いことになる。

しかしながら研究チームは、土壌湿度や野火の頻度の変化などその他の気候変動に対する応答は、土壌中の煤の生産と保存に影響を与える可能性がある、と警告している。

doi: 10.1038/ngeo358

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