注目の論文

ネアンデルタール人と初期人類との交雑が評価された

Nature Ecology & Evolution

2018年11月27日

Neanderthal–early human interbreeding assessed

現代の東アジア人とヨーロッパ人において、ネアンデルタール人のDNA断片の大規模な遺伝子解析が行われ、解剖学的現生人類の祖先とネアンデルタール人が複数の時点で確かに交雑していたことを明らかにした論文が、今週掲載される。

アフリカから拡散した解剖学的現生人類は、ユーラシア西部でネアンデルタール人と遭遇した。この遭遇は、現代の非アフリカ人集団のゲノムに痕跡を残した。解剖学的現生人類のゲノムには、ネアンデルタール人の要素が約2%含まれているのである。当初、現生人類とネアンデルタール人との間の交雑事象は1回だけであったと考えられていたが、東アジア人においてネアンデルタール人祖先の割合が、ヨーロッパ人よりも12~20%高いという知見から、遭遇は複数回であった可能性が示唆されていた。

Fernando VillaneaとJoshua Schraiberは、現生人類ゲノムの大規模なデータセットにおいて、東アジア系の人々とヨーロッパ系の人々の、ネアンデルタール人由来DNAのパターンに見られる非対称性を分析した。そして、異なる回数の交雑事象に関して解剖学的現生人類のゲノムに対するネアンデルタール人DNAの寄与をシミュレーションし、これらのパラメーターの多い複雑なモデルを機械学習の手法を用いて検討した。その結果、現生人類ゲノムに見られたネアンデルタール人由来DNAのパターンは、ネアンデルタール人集団と、東アジア人集団とヨーロッパ人集団の両方との間の複数回の交雑事象によって最もよく説明される、と結論付けられた。

著者たちは、現生人類とネアンデルタール人との複数回の遭遇は、異なるヒト族集団の間でたびたび複雑な相互作用が生じていたという新たな見方に符合する、と結んでいる。

doi: 10.1038/s41559-018-0735-8

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