Primer

副甲状腺機能低下症

Nature Reviews Disease Primers

2017年8月31日

Hypoparathyroidism

副甲状腺機能低下症
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副甲状腺機能低下症では、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌量が不十分となるため、血中のカルシウム濃度の低下とリン濃度の上昇が起こる。低カルシウム血症により神経筋刺激反応が引き起こされるため、うずき、筋肉痙攣、てんかん様発作などの症状が発現する。この疾患の最もよく見られる原因は、頸部手術中に偶発的に起こる副甲状腺の除去または傷害であり、遺伝的病因、特発性および自己免疫性の病因がこれに続く。従来の治療では、活性化ビタミンDやカルシウムの補充が行われるが、PTHの機能が完全に代替されることはないため、短期的な症状(低カルシウム血症、高カルシウム血症、尿中カルシウム排泄の増加など)だけでなく、長期的な合併症(腎石灰化、腎石、脳石灰化など)も起こる場合がある。そこで新たな治療法として、PTHの代替療法が登場した。最大6年間実施されたヒトPTH(1-34)とPTH(1-84)の臨床試験では、この治療法の安全性と有効性が示された。米国と欧州では、組換え型ヒトPTH(1-84)による副甲状腺機能低下症の管理が承認されている。しかし、長期的な合併症に対する効果については現在検証中である。本疾患の臨床診療ガイドラインでは、臨床専門家のコンセンサスが示されたが、ケアを最適化するには、さらなる研究が必要であることも認識された。このPrimerでは、副甲状腺機能低下症の罹患率、病態生理学、臨床症状、および管理に関する最新の知見を要約する。

PrimeView
副甲状腺機能低下症は、低カルシウム血症と副甲状腺ホルモンの分泌量が不十分であることを特徴とする。このPrimeViewでは、頚部手術中の副甲状腺の偶発的な除去をはじめ、遺伝的病因や、特発性および自己免疫性の病因など、この希少疾患のさまざまな原因について取りまとめる。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2017.55

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