Primer

マラリア

Nature Reviews Disease Primers

2017年8月3日

Malaria

マラリア
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マラリアは単細胞真核生物であるマラリア原虫による感染が原因である。ヒトに感染するマラリア原虫は5種類〔主に熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)と三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)〕存在し、ハマダラカ(Anopheles spp.)の刺咬によって伝播される。マラリアは最も深刻な感染症の1つである。世界人口のほぼ半数が感染に脅かされており、2015年にはアフリカを中心に数十万人もの小児が死に至った。マラリアの管理では、ベクター制御法(殺虫剤散布や殺虫剤処理された蚊帳の使用など)と治療および予防のための薬物療法との組合せで行われる。アルテミシニンをベースとした併用療法の普及によって、マラリア関連死は大幅に減少している。しかし、薬剤耐性の出現によって、この進展が逆転する懸念が生じている。発症機構に対するわれわれの理解が分子レベルで深まったことで、新しい診断薬、薬剤および殺虫剤の開発が促進された。現在、薬物耐性寄生虫に有効ないくつかの新しい併用療法が臨床開発中であるだけでなく、コンプライアンスの向上を目指して単回投与レジメンの使用が検討されている。さらに、このようなマラリア撲滅の野心的計画では、マラリアワクチンや新たなベクター制御法の開発につながる新しいアプローチも行われている。しかし、マラリア撲滅を達成するには、これらの成果だけでなく、あらゆる面での国際的協調が必要である。

PrimeView
マラリアは十分に予防することができる。このPrimeViewは、疾病負担を軽減するためのベクター制御法(殺虫剤や蚊帳などの物理的障壁の使用)と化学予防法(抗マラリア薬の大量投与)の役割を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2017.50

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