Primer

神経芽腫

Nature Reviews Disease Primers

2016年11月10日

Neuroblastoma

神経芽腫
拡大する

神経芽腫は小児期に最もよく見られる頭蓋外固形腫瘍であり、臨床像は多様で、腫瘍の生物学にしたがった経過をたどる。この神経内分泌腫瘍の特異な性質として、若年期に発症すること、診断時で既に転移していることが多いこと、および乳児では腫瘍が自然寛解する傾向があることが知られている。悪性度が最も高い腫瘍では転写因子をコードするMYCNがん遺伝子が増幅しており、通常、限局性腫瘍であっても予後不良と関連する。トランスジェニックマウスモデルではMYCNの過剰発現が腫瘍開始因子になるが、他の多くの関連遺伝子および腫瘍抑制遺伝子についても現在研究が進められており、これらの遺伝子も腫瘍発生に役割を担うとみられている。神経芽腫では染色体セグメントの異常が多く見られ、転帰不良との関連が示されている。家族性神経芽腫の発症はまれで、多くは ALKの生殖細胞変異と関連している。この遺伝子変異は原発腫瘍の10–15%に認められ、有望な治療標的になると考えられている。低リスクおよび中リスクの小児ではリスク層別化療法によって治療の軽減が促進されている。高リスク患者の治療も進歩しており、強力な化学療法や骨髄破壊的化学療法に続いて、分化誘導療法と免疫療法を使用した微小残存病変の治療が行われるようになった。これらの治療法よって5年全生存率は50%に改善している。現在、生存率と長期QOLのさらなる改善に向けて、ノルアドレナリン輸送体、遺伝経路および腫瘍の微小環境を標的とした新たな治療方法の開発に期待が集まっている。

PrimeView
神経芽腫は乳幼児期の神経内分泌腫瘍であり、副腎または交感神経節あるいはその両方に腫瘍が発生する。このPrimeViewでは、臨床検査、放射線イメージング技術および腫瘍生検などを含めた神経芽腫の診断法を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2016.78

レビューハイライト

レビューハイライトへ戻る

プライバシーマーク制度