Primer

ミトコンドリア病

Nature Reviews Disease Primers

2016年10月20日

Mitochondrial diseases

ミトコンドリア病
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ミトコンドリア病は酸化的リン酸化異常を特徴とする遺伝性疾患の総称で、ミトコンドリアの構造タンパク質または機能に関わるタンパク質をコードする核DNA(nDNA)およびミトコンドリアDNA(mtDNA)上の遺伝子の変異が原因と考えられている。ミトコンドリア病は遺伝性代謝疾患であるとともに遺伝性神経疾患でもあり、いずれの疾患としても最もよく見られるものである。ミトコンドリア病患者の臨床像は著しく多様であるため、診断の遅れが問題になっている。しかし、次世代シーケンシング法の進歩によって、とりわけ小児での診断が大幅に改善されている。遺伝子診断が確立されたことでミトコンドリア病患者の生殖の選択が可能になったが、mtDNA上の病的変異は確実に母系遺伝することから、変異を有する女性の負担が大きくなっている。将来、このような女性にも、ミトコンドリア・ドネーション法などの進歩した最新の体外受精技術によって、より好ましい生殖の選択が提供できるようになるだろう。ミトコンドリア病の治療法はまだ確立されていないが、治療マニュアルには合併症の管理法が記載されている。さらに、大規模コホートやバイオマーカーの開発に伴って、現在有望視されている治療薬が増加しており、いくつかの臨床試験も進行中である。

PrimeView
ミトコンドリア病は、ミトコンドリアの機能に関わるタンパク質をコードするミトコンドリアまたは核内のゲノム上の遺伝子変異を原因とする遺伝性疾患の総称である。このPrime Viewではミトコンドリア病の発症機構を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー

doi: 10.1038/nrdp.2016.80

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