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Alström 症候群:代謝性疾患の病因に関する洞察

Nature Reviews Endocrinology

2010年12月7日

Alström syndrome insights into the pathogenesis of metabolic disorders

肥満の遺伝的原因には、線毛不全症(ciliopathies)であるAlström 症候群やBardet-Biedl 症候群が含まれる。これらの疾患では、突然変異によって、細胞内 や細胞間の感覚受容およびシグナル伝達に関与している一次線毛の機能不全が引き起こされる。Alström 症候群は、ALMS1 の突然変異のみによって引き起こされる常染色体劣性遺伝疾患の一つである。対照的に、Bardet-Biedl 症候群は、一次線毛の機能に関連している少なくとも14 の遺伝子の突然変異によって引き起こされる。肥満のレベルは同程度であるにもかかわらず、Alström 症候群の患者はBardet-Biedl 症候群の患者よりも小児期に2 型糖尿病(T2DM)を発症しやすく、このことは、β細胞の機能および/ または末梢のインスリンシグナル伝達経路において、ALMS1 が特異的な役割を担っていることを示唆している。一次線毛に関与する蛋白質をエンコードする遺伝子におけるどの程度の変異がこれらの症候群の臨床表現型を発現させるのかについては、現在、突然変異マウスモデルを用いた研究によって明らかにされつつある。これらのモデルの助けによって、肥満、インスリン抵抗性およびT2DM の基盤にある病因メカニズムに関する洞察が得られつつある。Alström 症候群やBardet-Biedl 症候群を含む線毛関連疾患に関する研究によって、これらの遺伝疾患を有する患者の治療法が改善されるだけでなく、肥満やT2DM に共通の原因に関連した細胞経路に関する理解も改善されるに違いない。

doi: 10.1038/nrendo.2010.210

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