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環境発癌物質:発癌物質としての内分泌攪乱物質

Nature Reviews Endocrinology

2010年5月25日

Environmental causes of cancer endocrine disruptors as carcinogens

環境へ放出されてきた農薬や化学工業薬品を含む内分泌攪乱化学物質(EDC)は、 野生生物やヒトに有害な影響を及ぼす。動物モデルで観察された器官形成期の曝露の影響は、欧州人および米国人に観察された男性生殖管の形成異常と新生物の発生頻度の増加ならびに精子の質の低下に関連している。さらに、EDC への曝露によって、男性および女性の生殖機能の変化、あるいは神経内分泌系、 行動、代謝と肥満、前立腺癌および甲状腺と心血管内分泌系の変化などの影響も発生する。本総説では、EDC の発癌物質としての特徴に着目し、特にビスフェノールA について焦点をあてる。しかしながら、ヒトおよび野生生物は、相互に作用し合うEDC の混合物に曝露されている。この驚くべき複雑性を解明するために、種々の標的組織において、異なる年齢で作用するさまざまな量の構造的に異なる化学物質の影響を統合する新しい実験的アプローチが求められる。数学的モデル構築とシステム生物学的アプローチによって得られるコンピューターシミュレーションを導入することが、この複雑な問題を解く鍵となる。に もかかわらず、EDC による曝露を低減させる公的政策の必要性を促すデータがすでに蓄積している。

doi: 10.1038/nrendo.2010.87

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