注目の論文
マウスでは脳内の糖減少がアルツハイマー病を悪化させる
Nature Neuroscience
2015年3月3日
Reduced brain sugar aggravates Alzheimer’s disease in mice
アルツハイマー病(AD)のモデルマウスでは、血液脳関門を通過するグルコース輸送が損なわれると病気の進行が悪化するという報告が、今週のオンライン版に掲載される。
循環血中のグルコースは脳にとっての主要なエネルギー源となる。ADはグルコース輸送の初期減少が特徴で、これまでグルコース輸送体のGLUT1と関連付けられていた。ところが、病気の進行に対するGLUT1の影響については十分に理解されてはいなかった。
Berislav Zlokovicおよび共同研究者は、グルコース輸送を妨害したADのモデルマウスを研究した。血管壁を構築する細胞でGLUT1を遺伝子操作し、ZlokovicらはADモデルマウスでのGLUT1の減少が神経変性、血管の崩壊、そして行動障害を悪化させることを発見した。研究では同じく、ADモデルマウスでエネルギー代謝の変化と血液脳関門の崩壊が神経変性と認知障害を進行させることが示された。この研究は、ADと脳血管性認知症に付随する血管障害と細胞死を緩和する治療標的の候補としてのGLUT1の可能性を示唆しているが、GLUT1減少の背後にある分子機構を明らかにするためにはさらなる研究が必要である。
doi: 10.1038/nn.3966
注目の論文
-
12月13日
Nature Medicine:2025年の医療に影響を与える11の臨床試験Nature Medicine
-
12月12日
医学:マウスの子癇前症に対するmRNA療法の提供Nature
-
12月12日
天文学:Firefly Sparkleが初期の銀河形成に光を当てるNature
-
12月10日
加齢:脳の老化に関連する重要なタンパク質の発見Nature Aging
-
12月10日
Nature's 10:2024年の科学に影響を与えた10人Nature
-
12月3日
神経科学:標的を絞った脳深部刺激が脊髄損傷後の歩行を改善するNature Medicine