注目の論文

マラリア感染を早期に診断する方法

Nature Medicine

2014年9月1日

Early malaria diagnosis

マラリア感染の診断を、容易かつ迅速に行う方法が報告された。これは、感染した赤血球中でマラリア原虫が産生する代謝副産物の検出に基づいており、既存の方法より感度が高く、携行可能な検出機器を使って行えるため、医療施設外でも数分で診断をつけられる。

マラリアを感染進行の初期に診断する技術は、この病気を蔓延させるマラリア原虫の撲滅という世界的な目標の達成に非常に重要である。現在使われている代表的な診断法は、血液サンプルを顕微鏡観察して寄生虫の有無を調べるというもので、人為的誤りが起こりやすく、また寄生虫量が少ないと感度が低下する。これ以外の現在使用可能な検出法は定量的でなく、費用がかさみ、施設外での実施が難しい。

J Hanたちは、感染赤血球内で増加するヘモゾインという代謝産物の量の測定により、マラリア原虫の存在を検出しようと試みた。 ヘモゾインは、赤血球内の鉄含有タンパク質がマラリア原虫による代謝を受けた際に形成される。ヘモゾインの磁気シグナルは、卓上型の検出器で測定可能であることが分かった。この方法では、ヒト血液内の熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)を高感度に数分で検出でき、サンプルの複雑な処理などは不必要であることが実証された。また、マウスでのネズミマラリア原虫(Plasmodium berghei)感染も、感染初期に検出可能であることが示された。

doi: 10.1038/nm.3622

「注目の論文」一覧へ戻る

プライバシーマーク制度